2013年5月8日水曜日

いのち



あまりにも透明で 清涼な空気の中に
本格的な春の陽射しが差し込む


天と地との境がなくなって・・
あるいは見えないけど
天に昇る道が地上からあるような気がした。
ほんとうに。

もし私にも寿命が来たら、
こんなに心地い日に、
その道をとおってあちらの世界に逝きたいなあと思った。


カイの様子がおかしくて
最期をを覚悟した。


くるくると廻っては倒れて意識が混濁している感じだった。

カイの一番好きな場所、
カイの大好きな人たちがいるところ、
そこで看取ってあげたいと思った。


ずっと 私の詫びや感謝をききながら

その陽射しの中で
みんなの声を聴きながら、
手当てを受けながら、
愛情に包まれながら、
カイは何を感じていたのだろう。


「いのち」の力はすごい。


起き上がるようになり、
よろめきながらも歩く意志をみせはじめ、
ご飯を食べ、
排泄をし、
眠る。

日に日に元気になってきた。


カイは体を張って、
今回も 私にいろんなことを教えてくれようとしている。



歩けるようになって、

山桜が咲き始めた御嶽山の麓から
山桜が散り終えようとしている有明の山麓へ戻ったら、
家の周りは 土からも枝からも 時間で目に見えるほどの、「芽吹き」。
春を待っていた「いのち」の次々に溢れだしてくる力。



田んぼにも水が張られて、
一気に夏へと向かおうとしている。


時間は今までの倍はかかるけど、
カイは、散歩できるまでになり、
また同じ有明山をこうして一緒に眺められるようになった。



「もう逝くつもりなら逝ってもいいんだよ。
でもそうじゃないなら、また一緒に散歩していろんなものを見よう。」
・・って、あの陽射しの中、撫でながらずっと語りかけていた夢は叶い・・・

・・・考えてみると、

こうして私自身も、あたりまえのように歩き、食べ、寝て・・
好きな人と 好きな場所に住み、
これはもう いつかの自分の「夢」を、
「今」という時間で 常に 生きているのだと思う。
感謝しつつ・・。