2012年3月29日木曜日

きらきら

「人生で見た一番美しかったもの」
と、もし今聴かれたら、

私は間違いなく、
水や、氷の雫が、太陽や月に照らされて七色に輝くときの、
決して掴むことも、切り取ることも、維持することもできない、
あの「きらきら」。




今朝は、昨晩からまた積もった雪が、朝日に融けて、きらきら光っている。
地面の草木も、土の粒も、枝木も、
宝石を身に着けてキラキラ輝く。
光の道を歩く。



それは、

開田高原で見た、氷の木々を月光に照らす、真冬の満月の夜、とか。
しょぼくれていた時、犀川(福岡)で見た、梅雨明けの稲のきらきら、とか。
アメリカの片田舎で、手違いから宿に入れず、氷点下の夜明けの時、丘の上で見たきらきら、とか。
人生の出来事とともに、心に深く残っているものもあるし、


好きな人と一緒に、ボーと見続けた、海のきらきら、とか。
・・いつ、とか誰とかは濾過されて、きらきらだけが残っていく。

子供の頃の思い出、国内外の旅の思い出、など、
今日のように、日常の中に織り込まれているものは数えきれない。


そして、「きらきら」がうれしい時、
美しさや、
なぜかわからないけど、深いよろこびを感じる時、
「私は、生きてるんだなあ・・」って
歓びと感謝が湧いてくる。

2012年3月25日日曜日

屋代線の小さな旅


開業の手続きに、主人に休みを取ってもらった一日。

思いがけない大雪で、予定はどんどん変更になったけど、
廃線になる屋代線沿線を巡って、小旅行気分を味わった。







須坂の「雛祭り」。
親や祖父母の愛情が、一体一体に、込められていて、受け継がれてきた日本の文化、
手仕事のすばらしさ、
普段は忘れているような日本人独特の感性が、じわじわ蘇ってくる。


松代駅はとても風情があって
「切符」をはさみで切ってもらって、
主人も感慨深そうだった、
駅長さんも・・・。

近くの加賀井温泉でゆっくり、じっくり温まった。




雪の夜道は、裸の木々に積もった雪が、遠くから満開の夜桜に見えた。

2012年3月19日月曜日

ことりちゃん

快晴の後の雨、そして今朝はまた雪が降り、かなり冷え込混んでいる。


ここのところ毎日賑やかにさえずっていた小鳥たちは、
寒さに身を潜めているのか、
川のせせらぎだけが聞える。


今朝の楽しみは、昨日買った、朝食の「ことりパン」。

松川村のいぐパンさん。
休日に買いに行くことは、私たちの、ささやかなたのしみ。
ご夫婦でつくっているお店の雰囲気とパンに、
かわいい、元気のタネをもらう。

薪ストーブでできた燠で、ちょっとあぶって・・・

ちぎると、中にはカスタード。

どのパンもやさしくて、しっとりしているのに、
食べごたえがあり、心身満たされる。
食べてもらえないパンを、自分で焼くのはもう当分ギブアップ。

雲の合間から少し陽が差し、
ヒヨやシジュウカラが唄い始めた。
ことりちゃんたちとともに、今日も新しい一日が始まる。






2012年3月12日月曜日

震災から1年



午前中、久しぶりに有明山が顔を出した。
田んぼのまわりも「春の小川」のようにさらさらとアルプスからの雪解け水が流れている。


あれから1年。

友人が主催する菜園教室に参加した。

始まる前に、みんなで黙祷している間、
亡くなった人々、そのまわりの人々の測り知れない悲しみや恐怖や、
それが誰に起こってもおかしくないのに、
たまたま・・自分たちではなかった・・自分が生きていることの不思議。
生きていること、
こうして地に種をまく、
あたりまえのように、未来を想う生活ができることへの不思議、と感謝。
いろんな想いがよぎった。


生きているものは生きているもののそれぞれの役割があるのだろう。
いつの時代もそうやって受け継がれてきたように。

私にも、自分では自覚できていなくても、わたしの役割があって、
生かされているのだろう。

そして、できることはいつも同じ、
日々の小さなできこと、関わり…ひとつひとつ大切にしていくこと。

2012年3月5日月曜日

春の扉

夜中に、何度も「ドスン!」という音で目が覚めた。
屋根に何か衝撃が走ったときは、すさまじく、
「地震?」…「獣?」・・・
寝ぼけ眼で、おそるおそる障子を開けると・・・

なんか、いつもと景色が違う・・・
昨晩からの雪で、ほとんどの広葉樹がその重みに耐えられず、
枝を地面までしならせている。
空が広い。


薪を取りに行こうとしたら、階段を5~6メートルはある唐松の枝が遮って降りられない。
庭を見ると、あちこちに雪の重みに耐えかねて、折れた針葉樹の大きな枝が散乱している。
直径15センチはある唐松の長い枝・・これらが、屋根を直撃したんだな・・・

雪かきもずっしり重たく、泥みたいでなかなか動かない。
歩くと、ぬかって、なかなか足が抜けない。
水を含んだ春の雪。

枝が度々電線に落ちるからだろうか、
何度も停電しては戻る、の繰り返し。


兎のように飛び跳ねて喜んでいるのは カイだけで、
道には折れた赤枩の長い枝が、いたるところをふさいでいる。



借りている2駆動の車では、家から脱出できず、
すべての予定をキャンセル。
一日中、あちこちで落ちる、大きな雪の音、
大きな枝が折れる、薪割のような音を聴いていた。


昨日の陽だまりが嘘みたいな一日。

でも、雨に変わった雪が止むたび、賑やかな小鳥のさえずりが聞こえて、
雪の中にも、春が来ていることを感じる。


雪の重みは、ナカナカ開かない「春の扉」みたいだな。

2012年3月4日日曜日

春近し

お昼に向けて雲はだんだん晴れて・・・
山も少しづつ姿を現してきた。
もうしっかり春の準備をすませているかのようにみえる桜の木々・・
まだ色のない冬の世界も、黄色や青の花たちが、雪解けの土の上から顔をだしはじめている。

寒さが一番厳しい時期はもう過ぎて、

桜の咲き始める慌ただしい季節が来る前の、
夏の忙しさがやって来る前の、

「今年」の作業に思いを巡らせることのできる、静かで平和な時期。

頂いた花が、空に映える。
卒業にもらった花束を思い出す。
自分自身の、古い何かから、「卒業」できているかな・・・

2012年3月3日土曜日

そしてまた雪

白馬の方まで、山がくっきり見える!
晴れたな~、
あたたかいな~、

・・・とほころんでいると、
また雪が降る。
昨日は雨。
繰り返しながら少しずつ春に近づいている。



カイは、雪を食べる。
水を飲む代わりに。

人間サマは、味のついた雪を食べる。
「寒い寒い」と言いながら。