2013年12月30日月曜日

いえ

父がいる場所
母がいる場所
私と兄弟が育まれた場所
 
生活が、
 
喜怒哀楽も
愛情も憎悪も
重なって重なって・・・できた場所
 
安らぎと 
時に 崩れてしまいそうな脆さを 行き来しながら
どんな状態であっても
ぬくもりを感じる場所
 
 
いつまでもそうあってほしい
 
 
でも現実は
 
時間とともに
老いてゆく両親を
失われてゆく機能を
替わってあげられるはずはなく、
 
ずっとそばで支えることはできない。
 
私の体はひとつしかなく
生活しながら 根を下ろせる場所は ひとつしかなく・・
いや
ほんとうにそうなのだろうか。
何が 一番大切なことなのだろうか。
 
 
動物は自然のままに生き死にする。
人間は・・
 
・・・私は 
 この 与えられた いのち をどう燃やしたいのだろう。
 
覚悟はしていたものの
胸がつぶれそうに
いろんなことを突きつけられた
帰省。
 
胸の痛みは取れず 
何も解決はしないけど、
今朝 初めてカイの夢を見た。
 
 
 
 

2013年12月4日水曜日

カイ ありがとう


窓から射しこむ 
今朝のまぶしい光の中へ
カイは昇って行ったような気がした。

最期・・ひとりぼっちで
寒くて 怖くて 苦しかったと思う。
そばにいてあげられなかったことや
たくさんの後悔は
カイと一緒にいた証の 痛み として大事にするね。 




最後まで ふがいない飼い主を
16年間
いつも支え
耐え
導き
守ってくれました。

いつも
「いのち」がけでいろんなこと 教えてくれました。
今回も、ね。


もう
私を 呼んだりしてくれない・・けど

今日 
大好きな人たちに囲まれて
土の中へ 還したとき

カイの寝ているような安らかな姿に、
私も
カイも
ほっとした気がして。
もう
捜さなくていい
いつもそばにいる気がして。


「ひと」とか「いぬ」とか
目に見えているときは区別していたけれど、
肉体を脱ぎ捨てると・・
おなじ ひとつの「たましい」 なんだって
はじめて知りました。

カイ・・





2013年11月29日金曜日

1周年


ひょんなきっかけで始まったラジオの仕事。


「あづみの」
から 績まれる糸は
いろんな「人」と出会わせてくれた。


いつも 出会った方へ贈り物をするような気持ちで
番組づくり・・編集作業をしていたけど、
今回の記念番組、
その「あづみの」へ感謝の想いに動かされて つくっていたら、
いつのまにか
「あづみの」から 贈りものをもらっている感じだった・・
出会った方からの 想い を通して。


何もなかったところから
あたらしいかかわりがうまれてゆく



知っているつもりだった 場所 の奥に
もっと
ふかい
ひろがりがある

ひとりひとりの
こころ の
奥のほうにも、
私のこころの奥の方にも・・

そしてそれがつながってゆく
ふしぎ、よろこび・・



こゆく ふかい 1年だったとおもう。
支えてくれた ひとたちに 感謝。
頑張った、自分自身にも。


ひとつ 
乗り越え
また新しい風景がひろがっているのを感じる。



2013年11月12日火曜日

紅葉


台所のすりガラスが すでに 色づいていて、
この戸を開けたら さらに


玄関のすりガラスは より鮮やか、
そして開けると・・


まさに「紅」が萌えている。

家の周りは
この雨でずいぶん散ったものの
まだまだ色鮮やか。

各障子も紅葉して、
部屋も 黄色く染まる。





台所から見える黄色は
茶色に変わって 日々 地面を覆う。





今年の秋は
雨が多く、直前まであたたかったから らしいが、
カラマツが雪のように散った後も
カエデなどまだ紅がたくさん残っている。

車にも積もった紅葉を舞わせながら ハンドルを握る。
やがて、真っ白に変わるこの道を。


2013年11月9日土曜日

製作中・・

「あづみ野FM局開局1年」
にあたり
企画番組をつくっている。


番組の中で出会った
Oさんの
安曇野への 
あるいは 山や先人たちへの 
熱く 深い 想い・・

Oさんに 道先案内人になって頂き
これから
この地は
どんな風景を見せてくれるのか・・






長峰山からのぞむ安曇野。

この独特の地形。
山があり
そこから流れてくる川、そして
そこに住む人の集落。

三川合流。
実際には6本の川が合流する場所。
「槍で別れた高瀬と梓」だけでなく
遠い中央アルプスからも合流した川の水や、 
何十年前の雨が沁みて湧水となり、山葵田そばから流れ出す水もあわさり、
不思議な景観をつくっている。
命の源の「水」。


実際に 目で見て感動するこれらの景色と、
目に見えない 時間や空間が合わさって、
知れば知るほど
とても 有難い美しい風景をつくりだしている。


自然と古の人がつくってきた この土地に住む私たち。




そんな0さんが 翌日案内してくれたのは、筑北村。

安曇野から車では僅かの距離だが、
トンネルを抜けると、
空気が全く変わる。

そして北アルプスの
同じ山も
見え方がずいぶん変わる。



そしてなにより
衝撃を受けたのは

古の人たちの想いが
しずかに
ひそかに
そのまま残っている場所が随所にあること。

太陽が当たる場所とそうでない場所とが
視界も温度も くっきり分かれる
小春日和の秋の日、
忘れ去られた林の中で

時空を
行ったり来たりさせてもらいながら、
まだ言葉になっていかない
いろんなものが
胸をうずまいている。







2013年10月29日火曜日

ある秋の日



霜が降りるほど冷え込み、
日が昇った後は 霧がみるみるすべてのものを包み込んでゆく朝。

そんな日は確実に晴れる。



最近 忙しかったり、天気も不順で
「秋」を 心身が味わえてなかったけど、
タイミングよく 
大好きな人と 大好きな場所で 再会。
互いの犬同士も再会。



深まりゆく秋、
日に日に
山から里へ冬の気配とともに降りてくる。



ひさしぶりに「蒼」を感じる 空に
吸い込まれそう。


強い太陽で冠雪が融けてゆく鹿島槍。
私が 見とれている間に
カイは 日差しを全身で浴びてお昼寝。

2013年10月23日水曜日

旅の途中

どしゃ降りの 高速道路。
降りつける雨と 先を行く車のしぶきで前が見えない。

はじめてひとりで向かう夫の実家。
カイはベットをつくったら 心地よかったのかグッスリ。





知らない地名 
なじみのなかった地名が
その「名」を見ると ホッとする
新しい故郷のようになってゆく不思議。


大切なひとが 待っている
大切なひとの住む町は

自分の住む町みたいに温かみを帯びてくる。
国 が違っていても それは同じこと。

ハンドルを切り乍ら
今までの「旅」、
小さな旅から 見知らぬ国での旅・・
そして 旅そのものの「人生」をおもう。



離れていても
いつも思ってくれている人の
手のぬくもり・・

それを敏感に感じる カイの眼からは
 じわり と涙が溢れ 
かいはその愛情を 感じつくそうとしているように見えた。




私たちは
目の前のこと 目の前のひと いのちに
そのときできる精一杯をすることしかできない

明日のことは考えてもわからない

でも「想う」こと
「願う」ことはいつだってできる。

そして
私自身も
この地上に住む生き物も

どれだけその見えない「祈り」に支えられ

かろうじて「今」を生きていられることの
不思議を
奇跡を想う。


2013年10月15日火曜日

船窪小屋

4年前の夏、
主人の 「縁」 と 「念願」で 
私たちは この小屋で 結婚式をあげさせてもらった。


大町の七倉岳にある「らんぷ」の小屋。
「胸突き」でなく 「鼻突き」八丁が表示される 急な勾配を登る。


主人は 腰痛で今回は断念。
近くに住む媒酌人のKマンと一緒に
4年ぶりのこの道を 
うれしく ありがたく 踏みしめて あがる。


雲一つない秋晴れは、稜線付近で 雨雲に覆われ
ヒョウ、そして、雪に変わった。






囲炉裏端の
炎の、
小屋の 変わらぬ あたたかさ・・

それは

山のお父さん、お母さん、、
そしてこの小屋を 
表となり、裏となり 支えてきた人たちの、
また、
お会いしたことはないが 「先代」から続いてきたのだろう 小屋への、山への想い・・

それが小屋のぬくもりになって あじになって 滲み出
ている。





小屋の窓や戸を 夜通し揺さぶった 吹雪も
翌朝は グンと冷え込んだ空気に 日が昇る。
厨房の窓から差し込む 眩しいくらいの朝のひかり。


貴重な水、食材、
「食事」の一品一品に 心が 手間暇が 愛情が込められていて
頂く前に じんと 熱いものがこみ上げる ここの「食事」。




太陽のありがたさ。


今年 船窪小屋は この場所に移って創立60周年。
山のお父さんとお母さんは それぞれ喜寿で現役。

そして 今年の素敵なスタッフたち・・
たった この3日間だけど その想いにふれて 何度 もらい泣きしたことか・・
この みんなの笑顔が 今年の小屋の様子をすべて物語っている。
そして ここには写っていない この小屋を想う 「ツワモノ」たちの力の凄さ、謙虚さ、清々しさ・・を
想う。


なにも 力添えできない私たち夫婦だが、

ここで 
この小屋で
みんなの前で
この山々の前で
「誓い」を立てさせてもらったことの
大きさ ありがたさに
あらためて手をあわさせてもらう。


水場へ。
下を覗くと、先発が汲んでいる姿が見える。
雪が融けて、落石している。




私の番になって、
ここで目の前を 落ちてきた石が シュンという音とともに 過ぎた。
・・その後 背筋が凍った。

厳しい表情も
やさしい表情も見せながら
全てを包み込む
この大きな「山々」に 守られた気がした。
あのとき 誓った目に入ってくる山々・・



今シーズン最後の夕陽。
みんなの喋り声の中にも 漂う 不思議な静けさ・・・


スタッフで 最後の晩餐。
窓の向こうの夕焼けが
笑いも涙も 吸い込んでゆく。

歌に 演奏に・・
賑やかで ちょっぴりさみしくて・・



そして
また 日は昇り・・





シンボルの鐘は
閉じた囲炉裏の上に置かれて
窓も
玄関も
塞がれ
看板も下ろされ

小屋は
一足早い 冬の眠りへ。



後ろ髪をひかれつつ・・

みんなで
少しずつ
空気が緩んでくる野を味わいながら
里へ下山。

夫とカイも待ちわびていることだろう。

ありがとう・・
「船窪小屋」