2012年4月15日日曜日

白樺

4月初めに、日本列島を通った「爆弾低気圧」は、
うちの廻りのアカマツの枝を、折り飛ばしていったが、
横須賀の主人の実家の白樺は、折れて倒れてしまった。


ある晴れた日、
庭をふさいでいるという白樺を伐採に横須賀へ。
八ヶ岳を過ぎると富士山が見えてくる。

氷点下の朝の安曇野から、
ポカポカの日差を全身に浴びて、
カイは車の中でネコのように居眠り。


横須賀は桜が8分咲きくらい、
庭の花桃は満開で見ごろ。
色の無い世界から、突然色とりどりの世界に放り込まれたようで
私たちも、夢見心地でポワ~ン。




切ったようにきれいに、
庭にある、他のどの樹木も傷つけず、
庭の貝をちょうど台座のようにして、
大きな白樺はそっと横たわっていた。


主人が15年前に山梨でもらった苗木。
寒冷地の白樺がこの温暖な場所でこんなに成長しているのも
初めてみたときびっくりしたけれど、
この倒れた姿を見て、
「こころ」があって
生きていたんだなあ
と実感した。


義母は
いつもお米のとぎ汁や野菜の茹で汁・・・、
労を惜しまず、そのたびごとに、
庭の樹木たちに
声をかけながら、やっている。
庭の花や木はどれも
義父母に見守られ、大切にされているのが伝わってくる。

白樺も応えたのだ。

あの日、地震かと思うほど、ドンという音がして、
窓の外を見たら
白樺がこんなふうに横たわっていたらしい。
窓側に倒れていたら大変なことになっていただろう。


去年、主人が剪定した時、
「虫が入っているようだから切ろうか」という話になっていたが、
「まだ新芽が出てる枝もあるから様子を見よう」と、残していた。
聴いていたんだろうな。
感じていたんだろうな、
この家族にどんだけ大事にされているか。



カイが庭を自由にウロウロする中、

倒れた幹を主人がチェーンソーで細かくして行き、
枝は細かく切られ、
庭に積まれた。

秋には軽トラで取りに来るからね。
細い幹や枝は家に持ち帰った。
乾燥していなくても、白樺はすぐ火が付く。
この時期ありがたい焚き付け用の薪だ。
今朝も燃えて、私たちと家を温めてくれている。


残っていたわずかの新芽は、白樺シャンプー作成中。
ちょうど、満月の日だったから、
摘んだ新芽を、水に浸し、一晩月光にさらした。
1か月後には主人の愛用品だ。


うららかで穏やかな
夢のような、いろとりどりの春の4日間だった。
滞在中に桜は満開となった。



カイは一気に「夏毛」に変わり始めてしまった。
その頃安曇野は雪だったらしいが。


主人の家で15年という一生を過ごした「白樺」。
パチパチと
音を立ててストーブの中で燃えている。






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