2013年10月15日火曜日

船窪小屋

4年前の夏、
主人の 「縁」 と 「念願」で 
私たちは この小屋で 結婚式をあげさせてもらった。


大町の七倉岳にある「らんぷ」の小屋。
「胸突き」でなく 「鼻突き」八丁が表示される 急な勾配を登る。


主人は 腰痛で今回は断念。
近くに住む媒酌人のKマンと一緒に
4年ぶりのこの道を 
うれしく ありがたく 踏みしめて あがる。


雲一つない秋晴れは、稜線付近で 雨雲に覆われ
ヒョウ、そして、雪に変わった。






囲炉裏端の
炎の、
小屋の 変わらぬ あたたかさ・・

それは

山のお父さん、お母さん、、
そしてこの小屋を 
表となり、裏となり 支えてきた人たちの、
また、
お会いしたことはないが 「先代」から続いてきたのだろう 小屋への、山への想い・・

それが小屋のぬくもりになって あじになって 滲み出
ている。





小屋の窓や戸を 夜通し揺さぶった 吹雪も
翌朝は グンと冷え込んだ空気に 日が昇る。
厨房の窓から差し込む 眩しいくらいの朝のひかり。


貴重な水、食材、
「食事」の一品一品に 心が 手間暇が 愛情が込められていて
頂く前に じんと 熱いものがこみ上げる ここの「食事」。




太陽のありがたさ。


今年 船窪小屋は この場所に移って創立60周年。
山のお父さんとお母さんは それぞれ喜寿で現役。

そして 今年の素敵なスタッフたち・・
たった この3日間だけど その想いにふれて 何度 もらい泣きしたことか・・
この みんなの笑顔が 今年の小屋の様子をすべて物語っている。
そして ここには写っていない この小屋を想う 「ツワモノ」たちの力の凄さ、謙虚さ、清々しさ・・を
想う。


なにも 力添えできない私たち夫婦だが、

ここで 
この小屋で
みんなの前で
この山々の前で
「誓い」を立てさせてもらったことの
大きさ ありがたさに
あらためて手をあわさせてもらう。


水場へ。
下を覗くと、先発が汲んでいる姿が見える。
雪が融けて、落石している。




私の番になって、
ここで目の前を 落ちてきた石が シュンという音とともに 過ぎた。
・・その後 背筋が凍った。

厳しい表情も
やさしい表情も見せながら
全てを包み込む
この大きな「山々」に 守られた気がした。
あのとき 誓った目に入ってくる山々・・



今シーズン最後の夕陽。
みんなの喋り声の中にも 漂う 不思議な静けさ・・・


スタッフで 最後の晩餐。
窓の向こうの夕焼けが
笑いも涙も 吸い込んでゆく。

歌に 演奏に・・
賑やかで ちょっぴりさみしくて・・



そして
また 日は昇り・・





シンボルの鐘は
閉じた囲炉裏の上に置かれて
窓も
玄関も
塞がれ
看板も下ろされ

小屋は
一足早い 冬の眠りへ。



後ろ髪をひかれつつ・・

みんなで
少しずつ
空気が緩んでくる野を味わいながら
里へ下山。

夫とカイも待ちわびていることだろう。

ありがとう・・
「船窪小屋」

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