2013年10月3日木曜日

有明山


御嶽の麓の友人家族から、突然有明山に登りに来るという電話。

カイと散歩しながら「有明山」がいつもより迫って見える。
うん、呼ばれている気がする・・
彼らの到着を待っての遅く、うれしい出発。



私にとって 
有明山は、
・・その一部分しか知らないのだけど、
これまでの人生の中で
一番登った山。

いちばん身近で
眼の中にも
心の中にも
常にある。



その中に入ると
静かで
神聖さと安心感に包まれる。

「有明荘」にいたころ、
何度
この道を
踏みしめたろう。

精神的にとても苦しい時期だった。
「今を最低の時期だと決めて、後は上がるしかないぞ。」
・・って、年上の仲間が励ましてくれたけど、
心に出口はなく
ただただ ひたすら歩いた。



何年かいた中で、
よろこびの中も
悲しみの中も
なにもなくても
ひたすら歩いたこの裏参道。

これまでの
いろんな涙や汗を
迷いや誓いを
この山は全部知っているんだなあと、
歩きながら感じた。


ここのところ
張りつめていた心身の緊張も、
木々の中で
身体も頭も空っぽになってゆく。

心身に有明山の空気が入ってくる。



ひたすら
ひたすら
急な勾配をのぼる。
風景と楽しむ山ではないけれど、
たまに開ける視界から
立ち上るガスと光のパフォーマンス。


勾配のため
つかまったり
支えてくれる
木々。

手は、その樹液でべとつくのだけど、
この手触り、
匂い・・
手袋はしないでおいた。



大好きな友人家族にも 支えられ、
あの時も 今も
ある。


ずっと先に行く、健脚な彼らの存在を感じながら、
なんとなく
わりと近くに クマの気配も感じながら・・

こうして
あのころの願いを
生きている、
有明山にいる
「いま」の私。

一歩
一歩
感謝と祈りが
静かに
湧いてきた。





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