萌え出た芽吹きの色があふれるよう。
中房線の入口は、まさに春前線が通過した感じ。
満開の山桜も、半ばあたりを過ぎるとまだまだしっかり蕾んで、春を待っている。
中房川は雪解けの水をたくさん麓に送っている。
ところどころ、道の途中で見える北アルプス。
東天井は、光を受けて刃金のようにギラギラ光っていた。
中房線の入口あたりでカイの散歩を済ませるはずが、
景色に引き込まれてか、つい以前の習慣でか・・・
有明荘まで来てしまった。
カイと何百回廻ったろうか、この「散ポーロ」。
心が落ち着く、私の、安曇野での故郷のような場所。
ニリンソウも開き始めている。
滝の音、木々の揺らぎ、匂い、鳥の声・・・
なつかしい場所全体で、いろんな雑念や心配事を掃ってくれる。
そして、やっぱり・・・有明荘のなつかしい面々と、このお湯・・・。
心身が癒される。
帰り道、今まで見たこともない光景に目を奪われた。
光があふれる深い新緑の谷底から、桜吹雪が舞いあがり、
何度も何度も目の前を踊る。
アルプスの白銀、新緑の世界を背景に、自由に飛び回る蝶のよう。
どこから?と思って谷底を見ても、緑色の中房川がずっと下に見えるだけ。
家に帰って、まさに見舞いに出ようとしたとき、
友人が、朝、息を引き取ったと聞いた。
安らかな顔に手を合わさせてもらい、
「あ~、あの風景は、彼女から私へのプレゼントだったんだな・・。」って感じた。
一緒に働いた場所、
よく通っただろうこの道。
夜、友人の赤ちゃんに対面させてもらう。
産まれてくるのも、死んでいくのもすごいことだ、と感じた。
でも、もしかしたら、生きてることも同じくらいすごいこと・・・。
口数の少ない夫が、
「生きてることは奇跡だよ。」
とポツリと言った。
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