2011年6月18日土曜日

祝の島

夕べ寝つけず、起き上がっても、頭も身体もボーとしている。
こんな時は散歩!
道路から少し入れば、そこは自然のなか・・
意識まで連れて、狭く暗いところに沈んでいきそうな心身は、
全く別の風に洗われて、しゃっきりと本来のところへ戻ってくる。
自然の力はすごいと思う。
博多にいるとき、それは私にとって「海」だったけど、
ここではそれは、「木々」そして「沢」。



昨日、映画「祝り島(ほうりのしま)」を見た。

コタツだんらんツアーと銘打たれた「出前上映会」。
商業ベースの波に乗らない映画館がどんどんなくなっていく現在、
本当に見たい映画、見せたい映画・・小規模でも、「映画」という一つの媒体を通して、
顔の見える範囲でつながっていく。
本来の姿かもしれない。、
これからの時代の一つのヒントだなと思う。


映画はとてもよかった。
山口県、瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
いつか、飛行機の窓から、ハートの形がかわいくて、写真を撮ったことがある。

対岸4キロのところに、原発建設計画が持ち上がったのが、約30年前。
28年間反対し続けている、祝島に住む人たちの日常を、
笑いあり涙ありで、
ほのぼのと、
でもずっしりと胸にくる、島のひとの「ことば」を
美しい風景に包み込んで、
ドキュメンタリーとして撮っている。


「わしらの代で海は売れん。」


海と山に恩恵を受けて、大きくなって、生きてきたこと、
次の代に残していかなければいけないこと、
身の丈を知ること、


彼らにとっては、わざわざ、口にするほどのことでない、当たり前のことなのだろうが、
それぞれが、その人間にしか発っせない言葉で語る。

自分を育ててくれたの島の自然を守るために、
この女性監督を通して、何かを伝えるために。


何年も前、施設建設の是非を問う投票の時、


「あんたたちは金だけじゃろが・・。」とつぶやいた女性。

「自分たちは命を懸けて反対しとる。
あんたたちは命を懸けて賛成しとるのか?」と訴えた男性。


福島の原発の事故が起きた今となって、この言葉の重さは大きくのしかかる。


「誰かに言われたからじゃなく、本気で(島を守ろうと)やっているから、28年続いとる。
みんなそうだと思う。」
「人と人の関係が壊れてしまった心の傷が一番つらい。
それはこの土地にいきてたものにしかわからん。
賛成の人も反対の人も、両方傷ついた。でも、人間だから心の奥はみんな同じだと思う。
いつか元に戻れるといい・・。」

映画を通して、静かに、でも正面から、私たちに何を選択するべきかを問われている気がした。

祝島(いわいしま)は山口県の島の名前だけど、
ホントは日本列島が、
いや、地球そのものが、ほうりのしま、
私たちは、大自然のなかで、
生活している場所の上に
その一部として生かされている。
他の生き物たちとともに。

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