2011年2月26日土曜日

有明山

「有明」という名前に魅かれて・・
有明山の麓にある、「有明」という名前の宿で働くために、この地へやって来た。
5年前の話。
九州には有明海という名前の海がある。
信州に有明山??なんだろう?と単純に思って。
まさか、自分がこの地に根を下ろしていくことになるとは思わなかった。

いつか、上高地の明神池へ行ったとき、そこの神社に、兄社は福岡市の志賀島神社であると書かれているのを読んだ。
「は?」と。
そしてよく読んで、本当に驚いた。

志賀島は、わたしにとって、実家の先祖のゆかりの地。小さな頃から、お墓参りを兼ねて、家族で、あるいは遠足で、大人になってからはドライブで、また船で、好きな人たちと訪れた思い出は数知れない地。

そこが、安曇野の由来、安曇族の故郷だ、という説。海の部族は遠い昔、支配者から逃れて、部族ごと日本海を渡り、糸魚川から下って、この地に住み着いた、という。
海のないこの地で、穂高神社には、今でも御舟祭りが継承されている。
博多ではよく朝ごはんで出てくる「おきゅうと」。
海藻からつくられるものだが、こちらでは「えご」という名前で、冠婚葬祭の時などに出されるらしい。私も友人の家で、出されたとき、びっくりした。

遠い先祖?は、現在信濃富士とも呼ばれる有明山に、雲がかかって、頂上だけが見えるとき、
・・・故郷をしのんで、その頂上を、海の向こうに見える志賀島に見たててあがめ、
後の人が有明山と呼んだのかもしれない、と書かれた本を、読んだことがある。

そんな話は知らなかったけれど、宿で働いている間、有明山にはほんとうによく登った。
険しいけど、しずかで、なにもなくて、それがよくて、また登る。

窓から有明山が見える部屋が、嬉しくて、その日にアパートを借りて二年ほど住んだこともある。
まさか、この山の麓に住んでいる人と、結婚して、生活し始めるとは・・。
彼は有明の湯に魅かれて、この地に移り住んでいた。
近所にいたものの、全く面識もなかった彼。
私が、この地を出る準備が整ったときに、「有明山からのプレゼントです」と、友人から仕組まれて、出会ったのが彼だった。
友人も、ツボを心得ていたんだなあ・・

今日も里まで少し下って、有明山を眺める。
夕日が落ちた後の、なんともいえない、威厳のある姿。安心感。
私の遠い先祖もこうしてながめてたのかなあ・・
有明さん、ここへ呼んでくれてありがとう。プレゼントありがとう。



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